「風車が来てから地獄になった。早く何とかしてください」、と叫ぶ老婦人の表情には、悲痛さがにじみ出ていました。風力発電を推進する愛媛県伊方町で開催された住民説明会での一コマです。
同じ伊方町にある住宅。風車から300メートルほどの距離に位置しています。すべての窓や扉を閉め切っているのに、ガタガタと音を立ててふるえるタンスや引き戸。
地球温暖化対策の切り札のひとつとして、太陽光とともに期待が大きい風力発電。国は、2010年までに風力発電をいまの2倍にするという意欲的な目標を掲げています。
クリーンなイメージをもつ風力発電がもつ負の側面。先ほど放映された報道ステーションは、この負の側面に焦点をあてていました。
低周波が健康被害の元凶、でも個人差が大きい
風力発電がもたらす負の影響、それは「健康被害」です。もっといえば、風車が引き起こす低周波による健康被害について、今晩の報道ステーションは詳しく報道していました。
低周波は人間の耳には聞こえません。
低周波による健康被害の程度は、個人によって大きく異なります。同じ家に住んでいても、ご主人は「夜眠れない」と訴え、奥さんは「全く感じない」というケースも報告されていました。
低周波を15分間聞き続けたときに不快と感じる人が9割を超えるか否かという観点で、環境省は低周波について「参照値」を公表しているものの、長期間にわたって低周波を聞き続けたときに、人体に及ぼす影響に関する調査研究結果はまだないそうです。
いまあげた事実は、問題をいっそう複雑にしています。
設置場所の規制を
カメラアングルは、一転してポルトガルへ。
風力発電の先進地の1つであるポルトガルでは、風力発電が人体に及ぼすマイナスの影響については、古くから調査研究が進められてきたそうです。
風車が立ち並ぶそうしたポルトガルの海岸で、1つだけ止まっている風車がありました。「この風車は、健康被害をもたらす可能性が非常に大きいので、政府から運転を停止するように勧告されたのです」、と語る地元住民。
ポルトガルをはじめとするEU諸国では、風車の設置場所の規制が進められているそうです。たとえば、ドイツでは場所ごとに「風車と住宅との最低距離」が定められており、住宅から概ね1kmから2kmほど離れていないと風車が設置できないとのことでした。
翻って日本では、まだそうした設置場所の規制はありません。
冒頭で述べたように、地球温暖化対策のエースの1つとして、風力発電を強力に推進させなければなりませんが、クリーンなエネルギーを生み出している陰で、近隣の住民の方々に健康被害を及ぼしているようでは本末転倒でしょう。
できるだけ早い段階で、風車の設置場所の規制を設けるべきだと強く感じました。
追記
本記事の続編があります。
こちらもご覧ください。
--------------------------------------------------------
記事が参考になりましたら、以下のバナーをクリックしていただき、メッセージの伝達にご協力いただけると幸甚です。
